会社設立の際には、資本金を決めます。
資本金とは、設立する会社の財布に、まずはじめに入るお金です。
資本金はその会社の株主になる人が拠出することになります。
資本金を決めるにあたって、
「資本金はいくらで設定したらいいの?お金は実際に用意しないといけない?」
「資本金多い方がいいの?少ない場合のデメリットは?」
「資本金はすぐ使えるの?」
など、色々な疑問がでてくると思います。
ここでは、東大阪で会社設立のサポートを300社以上経験し、
その後もお客様の税務会計をサポートしてきた税理士の立場から、
注意すべき点などを詳しくお伝えしていきます。
1.資本金の意義
(1)資本金とは
会社を設立した場合、法律上の「人」=法人が作られるのですが、そこには資金の実態がありません。
そこで株主から拠出してもらったお金を、資本金として登記します。
これではじめて会社の実態(会社の財布にお金がある状態)ができます。
設立後は、その資本金を元手に商売を展開していきます。
「この資本金ってずっと会社の口座にずっと確保しないといけないの?」
と勘違いされる方もおられますが、会社の事業遂行の利用であれば使ってもOKです。
(2)資本金の役割
資本金は、設立後の商売の元手としての性格がありますが、それ以外にも、
信用の尺度や、税制や許認可の判断基準にも利用されます。
① 信用尺度
資本金が多いということは、商売の元手があり、
軌道にも乗りやすい潰れにくい会社と判断されます。
これには、「いくらだったら信用が高い」とか特に明確な基準はないです。
「相対的な判断」「相手側経験則からの判断」になります。
設立当初では、金融機関からの融資を受けられるかどうか、取引先からは、取引するかどうかの判断材料にも利用されます。
「えっ民間の会社でも、資本金ってわかるの?」
はい、登記後の登記簿は、誰でも閲覧できますので、資本金を簡単に調べることができます。
② 税制上の規模の判断
会社設立後には法人税や消費税を納めますが、
資本金次第で税負担が変わることがあります。
例えば、法人が決算の際に必ず負担する均等割という税金も、資本金が
1000万円を超えると負担が大きくなります。
このように、資本金の大きさが、税金の計算にも影響します。
③ 許認可申請の要件に
人材派遣業や建設業で許認可の申請を予定されている場合には、申請に
資本金が要件(または相当の財産要件)になっている場合があります。
業種によって異なりますので予め調べておくことも必要です。
(例)
一般建設業・・・500万円以上
特定建設業・・・2000万円以上
人材派遣業・・・2000万円以上
有料職業紹介事業・・・500万円以上
(1)軌道に乗るまでの予算で決める。
先ほどの許認可申請の要件を除いて、資本金をいくらにしたらいいのか?
おすすめは、「設立時の必要資金に応じて設定する」です。
例えば・・・
事務所や店舗の賃貸資金(敷金、礼金) 50万円
パソコンや事務用品一式 30万円
広告費用 20万円
固定費(人件費)3~6月分 100万円
資本金は200万円~300万円が妥当な感じです。
このように予算で設定するのがいいでしょう。
辻褄も合いやすくなります。
(2)金額の目安
信用力の観点から、目安をお伝えします。
これは、私の過去の経験からになります。
・100万円以下・・・少ない、大丈夫かな?設立早くない?
・100万から300万・・・一般的な金額で、融資を受ければ安定するかな?
・500万~1000万・・・計画的に用意され、計画的な経営者!
あくまでも表面上のお話です。本来は業種業態で判断すべきだと思います。
サービス業の方と、大量の仕入れや製造機械を最初から用意される方では異なります。
やはり①の考え方もしっかり取り入れてください。
(3)おすすめしない資本金
① 少なすぎる資本金
会社は資本金1円でも設立できます。ただ、おすすめはしません。
1円では設立後、何もできません。最初から代表者が必要資金を立て替えすることになります。
それでしたら立て替えできる金額を資本金にするべきでしょう。
また、不必要に、信用を落とします。
② 見せ金資本金
人から借りて、自分のお金として資本金にする方がおられます。
「見せ金」と呼んでますが、会社設立後、すぐに返済が必要になり、会社の口座より引き出すことになると思います。
会社に資本金としてあるべきお金の引き出すので、「代表者に貸し付け」として経理することになります。
この代表者への貸し付けは、代表者の会社資金の私的利用に見られ、金融機関も税務署も嫌います。
経理上必ず発覚しますので、最初からやめときましょう。
③ やりすぎ資本金
手元資金に余力があるからと全て資本金にする方がおられますが、
会社設立後、個人的に必要になると、会社から借りないといけなくなります。
そうなると会社は「代表者へ貸付」となりますので、これもあまり印象がよくないです。
個人の手元にもバランスよく残された方がいいでしょう。
④ 1000万以上
上記でもお話しました通り、税制上、均等割りなどのコストが増加します。
必要性がないなら、一旦が999万までで止めておきましょう。
会社設立時に無理にコストをかける必要はないです。
3.資本金を増やすことができるの?
会社設立後、「資本金が少なくて印象が悪いな」と思われた場合には、
資本金を増やすことができます。
これを「増資」と言います。
増資には登記が必要で、登記費用がかかります。
会社設立当初では不必要なコストであまりおすすめしないです。
4.さいごに
会社設立の際に資本金をいくらにするかは、その後の会社運営に大きく関わってきます。
「1円でもできるからとりあえず設立しよう」では、後々大きな問題になります。
安定した経営を続けるためにも、しっかり計画を立て決めていきましょう。
悩まれた場合には、ご遠慮なく当センターの無料相談をご利用ください。
コメント
COMMENT