「創業融資はいつ申し込めば良いの？」とお悩みの方は多くいらっしゃいます。特に、初めて事業融資を受けられる方は、疑問や不安に感じられることが多いのは、当然のことです。
そこでこの記事では、創業融資を成功させるための最適なタイミングと、申し込みから実行までの具体的なスケジュールを解説します。開業準備で忙しい中、いつ、何をすれば良いのかが明確になるよう、わかりやすくご説明いたします。
目次
1. 創業融資の申し込みはいつがベスト？結論は「事業開始前」
創業融資は、これから事業を始めようとする方が金融機関からお金を借りる制度です。いつ申し込むのが最も効果的かというと、ベストなタイミングは事業開始前であることをご存知でしょうか。なぜ事業開始前が良いのか、そして事業開始後に申し込むとどうなるのか、具体的に見ていきましょう。
1）事業開始前または開始直後がベストな理由
事業を開始する前、または開始直後に申し込むのがベストな理由は、主に2つあります。
まず、事業開始前は融資担当者が事業の将来性に注目して審査を進めるからです。この段階では、まだ売上や利益の実績がないため、作成した事業計画書の内容が融資判断の重要な要素になります。事業への熱意や具体的な計画をしっかりと伝えることで、高い評価を得やすくなるでしょう。
次に、開業後の運転資金や設備投資に充てるための資金を確保できる点が挙げられます。開業後、実際に売上が立つまでには時間がかかるものです。その間の家賃や人件費、仕入れ費用などを融資で賄うことができれば、資金繰りの心配をせずに事業に専念できます。
2）事業開始後に申し込むと不利になるケース
一方で、事業開始後しばらく経ってから創業融資を申し込むと、審査で不利になるケースが少なくありません。多くの金融機関は、「創業後」と「創業前」で融資の審査基準が異なり、創業後半年以上経過していると、すでに事業が安定していて当たり前とみなされることがあります。その結果、資金調達の必要性が低いと判断され、審査に通りにくくなる傾向が見られます。
また、事業を開始してから赤字が続いている場合も注意が必要です。赤字は事業が計画通りに進んでいないと判断される要因となり、融資担当者に「この事業はうまくいかないのではないか」という印象を与えてしまいます。開業後の資金繰りに困ってから慌てて申し込んでも、すでに手遅れになっている可能性も否定できません。
3）事業開始後でも問題なく融資を受けられるケース
しかし、事業開始後でも融資を受けられる可能性は十分にあります。たとえば、事業の拡大のために追加で設備投資が必要になった場合や、特定のプロジェクトを進めるための資金が不足している場合など、明確な資金使途があるケースです。このような場合、事業計画書に加えて、これまでの事業実績や今後の成長戦略を具体的に示すことで、融資担当者を納得させることが可能となります。
また、事業開始後、順調に利益を出している場合も融資を受けやすくなります。すでに安定した事業運営ができていると判断され、返済能力が高いと評価されるからです。ただし、この場合も「なぜ今、融資が必要なのか」という点を明確に説明することが不可欠です。
2. 創業融資の申し込みに必要な準備期間
創業融資の成功には、十分な準備期間が欠かせません。金融機関への申し込みから資金が手元に届くまでの流れを把握し、余裕を持ったスケジュールで進めていくことが重要です。
1）融資を受けるまでの期間
融資の申し込みから実際に資金が振り込まれるまでには、およそ1〜2ヶ月程度の時間がかかります。これはあくまで審査と手続きにかかる期間であり、この間に必要書類の準備や事業計画書の作成も進めなければなりません。
そのため、開業予定日から逆算して、少なくとも3ヶ月前から準備を始めるのが理想的です。焦って準備を進めると、不備のある書類を提出してしまい、審査に悪影響をおよぼすリスクが高まります。
2）創業融資の申込スケジュール例
開業日をゴールとして、下記のようなスケジュールで進めるのがおすすめです。
①開業の3ヶ月前
事業計画の策定、必要書類の確認・収集を開始します。この段階で、事業のコンセプトや収益モデル、ターゲット顧客などを明確にしておきましょう。
②開業の2ヶ月前
金融機関へ融資の申し込みを行います。この際には、面談で聞かれる頻度の高い質問に対する回答も準備しておくと良いでしょう。
③開業の1ヶ月前
金融機関の担当者との面談を実施します。面談後、審査結果の通知が届き、融資が決定すれば契約手続きに移ります。
④開業日
資金が振り込まれ、いよいよ事業を開始できます。
3. 創業融資の成功率を上げる3つのポイント
創業融資の成功率を少しでも高めるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。以下では、特に重要な3つのポイントを解説します。
1）自己資金はできるだけ多く準備する
創業融資の審査において、自己資金の多さは返済能力と事業への本気度を示す重要な指標となります。一般的に、希望する融資額の3割程度を自己資金で準備することが目安とされています。
たとえば、500万円の融資を希望する場合、150万円は自己資金で用意しておきたいところです。自己資金が少ない場合には、対策が必要なため、専門家への相談がおすすめです。
2）説得力のある事業計画書を作成する
事業計画書は、あなたの事業の未来像を金融機関に伝えるための最も重要な書類です。単に「儲かる」と書くだけでなく、具体的な市場調査に基づいた売上計画、競合他社との差別化ポイント、具体的な集客方法などを盛り込み、誰が読んでも納得できるような内容に仕上げる必要があります。専門的な知識がなくても、あなたの熱意と論理的な思考を伝えることが何より大切です。
3）信頼できる専門家に相談する
創業融資の申請は、多くの時間と労力がかかります。また、専門的な知識が必要になる場面も少なくありません。そこで、創業融資に詳しい税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
専門家は、あなたの事業計画を客観的に見てアドバイスをくれるだけでなく、事業計画書の作成や面談対策など全般的にサポートしてくれるため、安心して手続きを進めることができるでしょう。ただし、依頼内容によってサポート内容も変わりますので、ご留意ください。
4. 創業融資で疑問や不安がある方は専門家へご相談ください
創業融資の成功は、事業のスタートを大きく左右します。本記事でご紹介したタイミングや準備期間を参考に、計画的な準備を進めていただければ幸いです。しかし、一人で準備を進めることに不安を感じる方が多いのが実状です。
創業融資の手続きは複雑であり、専門的な知識も求められます。創業を考えているものの、何から始めれば良いか分からない、事業計画書の書き方に自信がない、という方は、ぜひ一度、「税理士法人やの会計事務所」にご相談ください。創業融資のサポートに特化した専門家が、あなたの夢の実現を全力でサポートいたします。
参考：税理士法人やの会計事務所