東大阪で税理士を営んでおります「やの会計事務所」の代表、矢野でございます。このブログでは、これから会社を設立しようと考えている皆様に向けて、会社設立の手続きから必要書類、そして設立後にやるべきことまで、流れに沿って分かりやすく解説します。
多くの経営者様が抱える「何から始めればいいのか分からない」「手続きが複雑で面倒」といった悩みを解消し、スムーズに会社を立ち上げられるよう、実務に基づいた具体的なアドバイスをお届けします。
目次
1.会社設立の準備:手続きを始める前に知っておくこと
会社設立の手続きを始める前に、まずは事業の核となる基本情報をしっかりと固めておくことが大切です。事前の準備が不十分だと、手続きの途中で何度もつまずいてしまい、時間と手間が無駄にかかってしまうため、しっかりと時間を取って検討するようにしましょう。
1)設立する会社の基本情報を決める
会社設立の準備として最初にやるべきことは、設立する会社の基本情報を決めることです。
具体的には、会社名(商号)、所在地(本店所在地)、事業年度、役員構成などを定めていきます。会社名は、同じ市区町村内で同一の商号、同一の事業目的の会社が存在しないか、事前に確認することが重要です。
また、会社の顔となる商号は、後々変更するとなると手間と費用がかかるため、事業内容やビジョンに合ったものを慎重に選定してください。本店所在地は、事業を営む拠点を明確にするものであり、自宅や賃貸オフィスなど、実際の活動場所を定めます。
2)資本金と事業目的を明確にする
次に、資本金の額と事業目的を明確にしましょう。資本金は、会社の設立時に出資者が払い込む資金であり、会社の信用力や事業規模を示す重要な要素となります。資本金の額に法律上の制限はありませんが、金融機関からの融資や取引先からの信用を得るためにも、事業に必要な資金を見極めて適切な額を定めることが大切です。
事業目的は、会社が将来的に行う事業内容を具体的に定めるものであり、定款に記載します。将来的に行う可能性のある事業も考慮し、できるだけ広範囲に記載しておくことで、事業内容の変更手続きを省くことができるのです。
3)設立費用を把握し資金計画を立てる
会社設立には、いくつかの費用が発生します。例えば、登録免許税や定款認証手数料などが挙げられます。株式会社と合同会社では、手続きにかかる費用が異なるため、設立する会社形態によって必要な資金を事前に把握しておくことが肝心です。
また、司法書士や行政書士などの専門家に代行を依頼する場合には、代行手数料も加算されます。これらの費用を正確に把握した上で、事業を開始するための運転資金や設備投資資金を含めた全体の資金計画をしっかりと立てておきましょう。

2.会社設立手続きの全体像
会社設立の手続きは、大きく分けて3つのステップで進んでいきます。それぞれの手続きには、専門的な知識と多くの時間が必要となるため、全体像を事前に把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができるのです。
1)会社設立の基本的な3ステップ
会社設立の基本的な手続きは、定款作成と認証、設立登記申請、そして税務署などへの届出の3つに分けられます。
①定款作成と認証
定款とは、会社の目的や組織、活動について定めた根本原則であり、会社の憲法ともいえる重要な書類です。定款には、会社名や所在地、事業目的、資本金の額など、法律で定められた絶対的記載事項を記載しなければなりません。
定款を作成したら、公証役場で公証人による認証を受けます。この認証手続きは、株式会社の設立にのみ必要となるため、合同会社を設立する場合は不要です。
②設立登記申請
定款の認証が完了したら、次は法務局で設立登記の申請を行います。この登記によって、会社が法的に成立したことになり、法人として事業活動を開始できるようになるのです。
登記申請には、定款の写しや役員の就任承諾書、資本金の払い込みを証明する書類など、多くの添付書類が必要となります。書類に不備があると申請が受理されず、手続きが遅れてしまうため、事前にしっかりと準備しておかなければなりません。
③税務署などその他の手続き
設立登記が完了したら、最後に税務署や都道府県税事務所、市町村役場などに各種届出を行います。
具体的には、法人設立届出書や青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など、税務に関する重要な書類を提出します。これらの届出は、会社を設立した日から一定期間内に行う必要があるため、期限を厳守して提出することが求められます。
2)株式会社と合同会社の手続きの違い
会社設立の手続きは、設立する会社形態によって若干の違いがあります。
最も一般的な株式会社と合同会社を比較した場合、大きな違いは定款認証の有無です。株式会社は、公証人による定款認証が法律で義務付けられている一方で、合同会社にはその必要がありません。このため、合同会社は定款認証にかかる手数料が不要であり、費用を抑えて設立できるというメリットがあるのです。
また、株式会社は所有と経営が分離しているため、機関設計が複雑になりますが、合同会社は出資者が経営も行うため、意思決定が柔軟に行えるという特徴があります。
3)手続きにかかる期間とスケジュール
会社設立にかかる期間は、準備状況や設立する会社形態によって異なりますが、一般的には、準備期間を含めて1カ月から2カ月程度かかることが多いです。スムーズに手続きを進めるためには、事前にスケジュールを立てておくことが重要です。
準備段階で基本事項を決定し、専門家と相談しながら定款を作成、認証手続き、そして登記申請へと進めていきます。設立後は、税務署への届出や銀行口座の開設など、様々な手続きが待っています。全体像を把握し、余裕を持ったスケジュールで計画的に進めることが、成功への鍵となるでしょう。

3.会社設立の必要書類と作成のポイント
会社設立の手続きには、多くの重要書類が必要となります。これらの書類は、1つでも不備があると手続きが滞ってしまうため、内容を正確に把握し、慎重に作成しなければなりません。
1)定款の作成と認証
定款は、会社設立における最も重要な書類の1つです。記載すべき事項は、法律で定められた絶対的記載事項、会社の事業内容や組織に関する相対的記載事項、任意で記載できる任意的記載事項の3つに分けられます。
定款を作成する際には、会社のビジョンや将来的な事業展開も考慮し、広範な事業目的を記載しておくことが、後々の事業拡大にも役立つでしょう。定款の認証は、公証役場で行いますが、電子定款で認証を受けると、収入印紙代が不要となり、費用を抑えることが可能です。
2)登記申請書の準備と添付書類
設立登記の申請には、定款の他、様々な添付書類が必要となります。具体的には、設立時役員の就任承諾書、資本金の払い込みを証明する書類、印鑑証明書などです。
特に、資本金の払い込みを証明する書類は、発起人代表の個人口座に払い込まれたことを証明する必要があるため、通帳のコピーなどを用意しなければなりません。すべての書類に漏れがないか、そして記載内容に誤りがないかを十分に確認してから、法務局に提出するようにしましょう。


3)設立時取締役の選任と印鑑証明書
会社の設立時には、取締役を選任し、その就任承諾書を作成します。取締役の印鑑証明書は、設立登記の際に添付書類として提出が義務付けられています。
印鑑証明書は、発行日から3カ月以内のものとされているため、有効期限に注意して取得するようにしてください。複数の取締役がいる場合は、それぞれ個人の印鑑証明書が必要となります。
4.会社設立後の手続き
無事に会社を設立し、法人としての一歩を踏み出した後も、やるべきことはたくさんあります。事業を円滑に進めていくために、以下のような手続きを忘れずに行いましょう。
1)税務署への届出
会社設立後、税務署には、法人設立届出書をはじめとする各種届出書類を提出しなければなりません。これは、法人として税務署に認識され、納税義務を履行していくために不可欠な手続きです。
特に、青色申告承認申請書は、期限内に提出することで、赤字の繰り越しや特別償却など、税務上の様々な優遇措置を受けることができるため、必ず提出するようにしましょう。また、従業員を雇う場合には、給与支払事務所等の開設届出書も提出します。

2)社会保険・労働保険の手続き
従業員を雇用する会社は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)と労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が義務付けられています。
これらの手続きは、管轄の年金事務所やハローワークで行います。加入手続きを怠ると、従業員の福利厚生に影響が出るだけでなく、会社としても法的な責任を問われる可能性がありますので、速やかに手続きを進めていくことが求められます。
3)銀行口座の開設と資金管理
会社設立後、事業用の銀行口座を開設することも重要な手続きの1つです。個人名義の口座とは別に、会社名義の口座を持つことで、事業の収支を明確に管理することができ、経理処理が格段に楽になります。
また、税務調査などの際にも、事業用とプライベートな資金が混ざっていると、説明に手間どってしまう可能性があるため、事業資金は必ず会社名義の口座で管理するようにしましょう。
5.会社設立は「やの会計事務所」にご相談ください!
会社設立は、人生における大きな節目であり、事業の成功に向けての第一歩です。しかし、手続きは多岐におよび、複雑に感じられるかもしれません。
大切なのは、事前に必要な情報を集め、計画的に準備を進めることです。この記事で解説した流れや注意点を参考にしていただければ、スムーズに会社を立ち上げることができるでしょう。
会社設立の手続きは、専門的な知識が必要な場面が多く、初めての方には難しく感じられます。特に、定款の作成や登記書類の準備は、専門家のサポートがあった方が安心です。
書類準備でお困りの方は、お気軽に「やの会計事務所」にご相談ください。東大阪という地域に根ざした税理士として、皆様の会社設立を全力でサポートいたします。

参考:税理士法人やの会計事務所